安積高校生に対する授業

勉強の困りごと

安積高校は、生徒に対し、相当な量の課題を出します。また、郡山市内の他の高校と比べて、定期試験の範囲が広い上に、実力テストや模擬試験が頻繁ひんぱんに行われます。

勉強が十分に得意な人にとって、この試験や宿題は、深刻なものではありません。例えば、数学の定期試験は、ほとんどが「サービス問題」に見えるはずです。英語の文法問題(空欄くうらん補充や並び替え)は、その場で考えて解き、それなりの点数を取ることができます。

他方で、相対的に勉強が得意ではない学生は、次のような問題を抱えることになります。

  • 試験で、選択問題だけでも時間がかかる。
    • 時間が足りず、記述問題を白紙で提出する。
  • 数学の文章が読めない。
    • 数学の教科書が読めない。
    • 青チャートが読めない。
  • 英語の文法問題をその場で考えることができない。
    • 英文を覚えるまで読まなくてはならない。
    • 並び替え問題で、中学生でも間違いと分かるような順番にしてしまう。

問題の背景など

数学について

次のように中学数学が得意だったとします。

  • 中学数学の定期試験で満点近くを安定的に取る。
  • 新教研の数学で40点以上を安定的に取る。

それでも、高校数学が得意になるとは限りません。

その理由は、公立中学校の定期試験・高校入試の数学では、高校数学で必要な能力を部分的にしか評価していないからです。

数学的文章の読み書き

公立中学校の定期試験・県立高校の入学試験の数学では、数学の文章を読むこと・書くことをそれほど評価していません。逆に、標準的な処理を速く正確にできるかを見ています。

実際、県立高校入試対策のために塾に通っていたという方は、塾が問題集と共に解答・解説を使っていたかどうか、確認してみてください。塾によって異なるのかもしれませんが、おそらく、解答・解説を使っていないと思います。

塾の受験対策は、合理的であるはずです。解答・解説を使わない理由は、高校入試数学では、数学の文章を読むことが重要ではないからです。

他方、高校数学には、数学の文章を読むこと・書くことが含まれています。数学の文章が読めなければ、解説や問題文が読めません。また、数学の文章が書けなければ、問題に答えることができません。

文字を扱うこと

公立中学校の定期試験・県立高校の入学試験の数学では、文字(\(x\)など)を扱うことが、厳しくは要求されていません。

文字を上手く扱うことができるか評価する際、福島県の高校入試数学の中では、例年ではグラフ(第6問)の最後の問題が重要です。

しかし、このような問題は、1つしかありません。この問題を捨てるよう指導された人もいると思います。そのため、この試験では、文字を扱う能力を十分に評価しているとは言えません。

本来、文字の扱い方は、その問題を試験本番で解けないとしても、過去問を解く中で身に付けるべきことです。

英語について

英語を勉強するとき、語学の天才でない限り、次の資料を上手く使うことが大切です。

  • 辞書
  • 単語帳
  • 文法書

辞書

小中学生の頃に辞書を使う習慣が無かった人は、辞書の使い方が分からないかもしれません。英和辞書で調べたとき、最初に出てきた日本語をそのまま使ってしまうことがあります。

また、英語の発音記号も、中学1年生の教科書に載っていても、読めないかもしれません。

単語帳

単語帳も、「ネコcat、catネコ」「イヌdog、dogイヌ」のようなことばかりしていると、実際に単語を使うことが難しくなってしまいます。

文法書

さらに、文法書は、700ページに達しています。次のような学習経験がないと、読むのに苦労するかもしれません。

  • 幼稚園・保育園・小学校にいた頃に、図鑑などを読んでいた。
  • 中学生の頃に、教科書や資料集などを自分で読んでいた。

日本語

加えて、ネイティブでない以上、英語を学ぶためには、日本語を上手く扱えた方がよいように思います。例えば、英文をそのまま読み取れない場合には、日本語にする必要があります。この場合、日本語の文を作ることができなければ、英文が分からなくなります。

本人が頑張ったとしても、このような問題で限界に達してしまいます。

理科・社会について

理科や社会について、教科書や資料集などが読めないかもしれません。

特に、社会の教科書などが読めない場合、地理・歴史の論述試験がある大学(文系)は、合格しにくくなってしまいます。

「そういうことではない」という感覚

例1

東大入試の世界史には、450字~600字の文章を書くというものがあります。世界史の用語などを知っていても、全く書けません。次のようなセンスや経験が必要だからです。

  • 1つ1つの文を書く
  • 文章全体がまとまるようにする
  • 様々なできごとを結びつける

上手く書けない人は、普通の世界史の授業を受けても「そういうことではない」と感じます。参考書・問題集を読んでも、知りたいことが書いてありません。

他方、「文章全体がまとまるようにすることが大切」と言われたとしても、何を言っているのか分かりません。スポーツで、運動能力の高い人に「パンとやってストン」と言われるのと同じことです。

例2

初見では、数学の問題を解くことができない場合があります。次のようなことです。

  1. その問題を初めて見たときには、解けない。
  2. 解説を読めば、解き方が分かる。
  3. 2回目には、解ける。

この場合、問題の解き方を説明されても、「そういうことではない」と感じます。知りたいのは、解き方ではなく、説明されなくても解ける方法だからです。むしろ、解き方を説明されると、邪魔じゃまになります。

改善

これらの事実を踏まえると、安積高校生に対する授業としては、宿題やテスト対策を効率的に進めるだけでは不十分であることが分かります。本人がまじめに勉強しても、できないものはできません。

次のような能力の向上に取り組まなくてはなりません。

  • 文章を読む
  • 文章を作る
  • 数学の論理を理解する
  • 関係する知識を適切に調べる

私は、安積高校生に対し授業を行う際に、次の2つに努めます。

  • 短期的に、点数が下がるのを抑えること。
  • 長期的に、上記の能力を向上させること。

もちろん、学力向上は、保証できません。点数が下がるのをどうにか抑えるだけになることもあります。

いずれにせよ、目の前の問題を解きながら、射程の長い授業ができればと思います。

1年生について

福島県立高校の入学試験で、次のような成績であった場合も、遠慮なくご連絡ください。

  • 200点に達しなかった。
  • 20点台の科目があった。

県立高校の入試を終えてから1学期が始まった頃までに体験授業を申し込まれる場合、次の問題を解くようお願いします。

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